ケニーと棚橋
こんにちは。
プロレス好きの管理人、たかです。プロレス(特に新日本)のドラマに魅了されて10年ほど。このブログでは、新日本プロレスで現在進行形で進むドラマを中心に、あることないことをつづる予定です。
そんなわけで、今回は来年(2019年)の東京ドーム大会で行われる、IWGPヘビー級選手権試合 ケニーオメガvs棚橋弘至の一戦について綴っていきたいと思います。
①世代闘争
棚橋ももう直ぐデビュー20年を迎えるベテラン選手。一方のケニーはデビュー15年ほどの脂の乗ってきた選手です。年齢で言っても前者は41歳、後者は35歳。
棚橋とケニーはプロレスキャリアで考えた場合に、一世代離れていることになります。
この年齢差は、試合中のムーブにも顕著に表れているように見えます。
棚橋は、過去のIWGP王者時代の全盛期に比べて、明らかに動きのキレがない。これは、両膝の古傷(棚橋は両膝の靭帯を過去に手術した経歴があり、最近も度々それによる欠場に悩まされている。)が影響しているんだと思います。
一方のケニーは、動きに影響するほどの大きな怪我はここまでほとんどなく、技にもパワー、スピードがある。
プロレスを初めて見る人、観戦歴の短い人にとってはケニーの強さが光ることになるでしょう。
このコンディションで臨む試合、私が見所としているのは棚橋がどのように動くかということです。
ケニーは、スピードをもとに使用する技も多種に及ぶ。そんなケニーのスピードに付き合わず、魅せる試合をすることができるのか。棚橋の試合運びが見ものです。
②イデオロギー闘争
ケニーと棚橋。二人は育ってきた環境が大きく異なります。
ケニーは、海外のインディー団体でデビューし、来日してからはDDTや全日本でキャリアを重ねました。この経歴の中で、イメージが強いのはやはりDDT時代。路上プロレスというDDTのお家芸に飯伏幸太とのゴールデンラヴァーズ。泥臭い(本当にキャンプ場でドロドロになりながら試合をしていた)スタイルや、大技連発のスタイルまで振り幅が広い。現在の新日本の主流の試合スタイルが大技連発のスピーディーな攻防であるとすると、彼は完全に適応できています。
一方の棚橋は、新日本生え抜きの選手。武藤敬司の付き人をしていて、一時は武藤全日本に誘いを受けるくらい、武藤との関わりが強いイメージです。そんなキャリアから、大技を連発するというよりかは自分の技を大切にしてフィニッシュにつなげるスタイルであると評価しています。まさに00年代を象徴するスタイルであり、新日本の長い歴史の中の一部であったのです。他方で、現在の新日本主流の試合スタイルに適応できているかというと、どうも取り残されてしまっている感が否めません。
棚橋は記者会見の中で、そんな主流スタイルに異を唱えました。
棚橋 それも言葉が足りなかった部分があると思うんですけど、ケニーのプロレスは食傷気味なんですよね。プロレスは激しく厳しいものであっても、残酷なものではあってはならないっていう考えなんですよ。で、技術も良い、ビジュアルも良い、運動能力もすごい。けど、「何かが違うな?」って感じてて、「なんだろう?」と思って昨日気付きました。プロレスに品がないです。そういった意味です。
(新日本公式より引用)
「プロレスに品がない」
これは、一瞬ケニーのプロレス論へだけのディスに聞こえます。ただ、もう少し視野を広くしてみると、現在の新日本プロレスのトップ選手が激しい試合スタイルであることに気づきます。つまり、新日本全体が棚橋にとっては「品がない」んです。
棚橋は、現在の新日本プロレスにアンチテーゼを投げかけました。
一方のケニーは、自分は棚橋にとってはそう映るかもしれないが、ファンからの支持が絶大であるということを主張。政治や人間関係でもそうですが、その人の主張が合っているのか間違っているのかを測るには、その人への支持がどれくらいあるのかを見ればいい。つまり、ケニーの言っていることは間違ってないのです。
両者のイデオロギー闘争、広い視野で捉えれば
ファンのコンセンサス(ケニー)vs伝統の維持へのエゴ(棚橋)
といえそうです。
記者会見の様子はこちらから